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NIRA政策提言ハイライト

待ったなしの財政再建

NIRA政策提言ハイライト 2012/06発行

欧州債務危機の教訓
 2009年のギリシャ危機に端を発した欧州債務危機は、 イタリア、スペインといったEU圏内の大国を巻き込み、いまだ抜本的な解決の目途がたっていない。2008年のリーマンショック以降、 欧州各国の民間銀行は有力な投資先が見当たらない中、各国政府が発行する国債を買い進めていたため、財政危機は銀行危機、 金融危機へと姿を変えていった。
 欧州債務危機は、安定的な財政運営や、金融秩序の維持を行う上で、市場の信頼が極めて重要であることを示した。 日本政府が抱える巨額な債務を安定的にコントロールし、市場の信頼を維持するため、 社会保障と税を一体的に改革することは避けて通ることのできない課題である。6月26日に消費税増税法案は衆議院を通過したものの、 負担増への反対は根強く、改革が着実に実行されるかは依然として不透明な状況にある。

財政破綻は特殊な問題ではない
 NIRA政策レビューNo.48「財政再建への途」(2010年9月)、 NIRA研究報告書「財政再建の道筋」(2011年4月)で、 伊藤元重(NIRA理事長)は、過去の財政破綻や財政再建について、その事例を紹介している。残念ながら財政破綻というのは、 特殊な問題ではなく、世界の多くの国が歴史のどこかで必ず経験する問題である。財政破綻まで行くのは発展途上国や新興国のケースが多いが、 先進国でも歴史的に財政問題が深刻な状況にまで至った国は少なくないことが指摘されている。
 さらに、財政危機に直面するギリシャと日本の違いとして、ギリシャでは国債の大部分を外国人が所有していたため、 国民に増税や歳出カットの苦い薬を飲んでもらうという政治的に苦しい道ではなく、 ユーロ加盟国からの支援という安易な選択肢を選ぶことができた。他方、日本の場合は、国民が直接・間接に大半の日本国債を持っているため、 日本政府にとって債務不履行で生じる国民生活への悪影響は、厳しい財政再建を続けていくよりも困難が大きい。

表 経済危機事例
先送り許されぬ社会保障・税の一体改革
 また、NIRA政策レビューNo.55 「先送り許されぬ社会保障・税の一体改革」 (2012年2月)では、政府が現在取り組む社会保障・税の一体改革の意義や問題点、改革の先送りがもたらす影響、 今後さらに取り組むべき社会保障改革のあり方等について論じている。その中で、伊藤元重(NIRA理事長)は、 今のタイミングで日本政府が社会保障と税の一体改革を打ち出し、消費税率を引き上げることの意義は、 日本政府が財政の健全化にしっかりと取り組む意志と能力があることを市場に示すことにあり、 それが市場からの信用をつなぎとめる良策であるとしている。

島澤 諭 NIRA主任研究員


<リンク>
財政再建への途」(NIRA政策レビューNo,48 /2010年9月)

財政再建の道筋―震災を超えて次世代に健全な財政を引継ぐために―』(NIRA研究報告書 /2011年4月)

先送り許されぬ社会保障・税の一体改革」(NIRA政策レビューNo.55 /2012年2月)

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