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NIRA政策提言ハイライト

行政区分と人々の活動実態とのミスマッチを解消せよ

NIRA政策提言ハイライト 2012/06発行

住民・企業の活動範囲と行政区分とのミスマッチ
 東日本大震災の被災地域では、復旧・ 復興が足踏みしながらも着実に進んでいる。復旧・復興の進展は、周知のとおり、地元の懸命な努力に加え、 全国からの支援の成果によるところが大きい。とくに、地方自治体間の支援や協力は活発であり、例えば、 山形県は隣県の宮城県から震災直後の避難者や復興段階での瓦礫などを積極的に受け入れている。
 ところで、地域住民や企業の活動範囲は、地方自治体の境界にかかわらず、近隣の市町村にまで及ぶことが通常である。復旧・ 復興への民間の支援も、地方自治体単位での行政区分を意識することなく、現地のニーズに応じて自由に活動している。 こうした住民や民間の活動が、行政区分の存在によって活動が制約されないかが問われている。

経済実態に即した行政区分に
 NIRAオピニオンペーパー「復旧・復興に『地力』を生かせ」 (2011年6月)のなかで、柳川範之(NIRA理事)は、被災地復興のためには経済活動を活性化させ、 成長を促進させていく仕組みづくりが必要だという。そのとき、行政単位そのものと民間の活動や生活者の活動範囲がずれていることがあるため、 今後は後者の実態に沿うような行政区分のあり方を考えるべきと指摘する。そして、 仙台圏と山形圏のように県をまたがって結びつきが強い地域間では、これを阻害することなく促進させるよう、 経済実態に沿った形での行政の広域連携の必要性が主張されている。

ミスマッチの解消に向けて
 このような行政区分と経済実態のミスマッチは、 交通手段の発達やマーケットの拡大など様々な背景が考えられるが、これを解消するためには、どのような方法があるだろうか。
 例えば、先述のとおり、広域連携によって地方自治体の管轄するエリアを事実上一体化する方法がある。また、 地方自治体間の合併によって人々の活動実態に適合した地方自治体を新たに作りだす方法もある。実際、旧長野県木曽郡山口村は、 住民生活が隣県の岐阜県中津川市とのつながりが深いため、平成の大合併にあたり、中津川市と越県合併を行っている。

地方自治制度の再考を
 地方自治体は「住民の福祉の増進に努める」 ために存在し(地方自治法2条14項)、「住民」とは「市町村の区域内に住所を有する者」をいう(10条1項)。こうした「住民」 概念が今日の生活者の活動実態に即したものとなっているか。また、「住民に身近な行政はできる限り地方公共団体にゆだねることを基本」 (1条の2,2項)としてきた地方自治のあり方が、結果として地方自治体を細分化したために、 生活者の活動実態とかけ離れたものとなっていないか。地域の声に耳を傾けながら、 今日の社会の実情に照らして地方自治制度を再考することが必要となろう。

東北地方人の移動 

斉藤徹史 NIRA主任研究員


<リンク>
復旧・復興に『地力』を生かせ」(NIRAオピニオンペーパーNo.2 /2011年6月)

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